『夜に口笛を吹くと良くない事が起こる』そんな話を聞いた事はありませんか?
このような話は、子供に対いての教訓を含んでいる場合も多く、世界中に色々な形で存在しています。
今回は、ベネズエラやコロンビアで語り継がれる『エル・シルボン(El Silbón)の伝説』をご紹介したいと思います。
長い期間語り継がれるこの物語りは、その恐怖と興奮であなたの心をつかむこと間違いなしです。
エル・シルボンとは⁉
エル・シルボンとはスペイン語で「口笛を吹く男」を意味します。
口笛を吹きながら永遠に歩き続ける呪われた男の話は、これまで何世紀にもわたり語り継がれてきました。
エル・シルボンは肩に袋を持ち、その中には彼が過去に殺した者たちの骨が詰まっているとされています。
彼の最も特徴的な特徴は、口笛の音とその逆転現象です。
エル・シルボンが遠くにいるときは口笛の音が大きく、近くにいるときは口笛の音が小さく聞こえます。
彼の口笛の音は恐怖の前触れとなっているのです。
エル・シルボンの起源
この物語の起源は色々なパターンがありますが、共通するのはエル・シルボンが父親を殺したために呪いを受けたという点です。
父親を殺した彼は、祖父によって厳しい制裁を受け、永遠に彷徨う呪いをかけられる内容になっており、物語の内容は以下のようになっています。
エル・シルボンはひとりっ子だったこともあり、両親からとても愛されて甘やかされて育ちました。
いき過ぎた愛情と甘やかしは悪い方向に働き、エル・シルボンを傲慢でわがままな性格のモンスターのように成長させてしまいます。
ある夜、エル・シルボンは鹿肉を食べたいと訴えます。
鹿肉がなかったので父親が「鹿肉はないので今は無理だよ」と答えると、エル・シルボンは激高し父親をナイフでめった刺しにして、殺してしまったのです。
エル・シルボンの奇行はそれだけでは終わらず、父親の死体を解体し始めます。
ひとしきり父親を解体すると、その肉を母親に渡し料理させたのです。
母親は突然肉を持って来たエル・シルボンを訝しみ、何の肉か尋ねますがエル・シルボンは答えませんでした。
しかし母親は、料理をするうちに肉が獣のものではなく、夫の肉であることに気が付きます。
母親は深く絶望し、エル・シルボンの祖父に「あの悪魔を何とかしてほしい!」と頼み込んだのです。
祖父は、エル・シルボンを柱に縛り付け、何度も鞭で打ち傷口にトウガラシやレモンの汁をすり込み「痛み」を与えます。
そして、エル・シルボンに父親の骨が入った袋を持たせて家から追い出しだのです。
家から離れていくエル・シルボンに向かって、死体のニオイに釣られて集まって来た野犬が襲い掛かります。
野犬がエル・シルボンを喰い散らかすのを確認した祖父は、死の直前に『永遠に彷徨い続ける呪い』をかけました。
そして、エル・シルボンは死ぬことが出来ない体になり、永遠に世界を彷徨い続ける存在になったのです。
家を訪れるエル・シルボンの恐怖⁉
エル・シルボンは夜中に家々を訪れ、袋の中にある骨を数えはじめます。
その時、家人がエル・シルボンの存在に気付かずに彼が骨を数え終えた場合、その家の住人はエル・シルボンの被害者となってしまいます。
逆にエル・シルボンに気が付き、追い払うことが出来れば家に幸運が訪れるといわれています。
エル・シルボンと現代
この口笛を吹く幽霊の物語は、映画や音楽、文学といったポップカルチャーにも影響を与えてきました。
エル・シルボンはラテンアメリカの恐怖と神秘を表現する象徴として、さまざまな作品に取り上げられています。
この呪われた男の伝説は、私たちの恐怖、罪悪感、人間の性質を反映しているのかもしれません。
そして地元の人々にとっては恐怖の象徴であり、同時にそれぞれの地域の歴史と文化の一部でもあります。
エル・シルボンの物語は今もなお、ベネズエラやコロンビアの人々によって語り継がれています。
この物語は、子供たちに対して躾けをするために教訓として使われているのです。
まとめ
本記事では、特にベネズエラとコロンビアで語り継がれる都市伝説、エル・シルボンの伝説を紹介しました。
エル・シルボンの物語は、彼が口笛を吹きながら永遠に歩き続ける様子が描かれています。
この伝説は、エル・シルボンの口笛の音と彼が家々を訪れて骨を数える様子に恐怖を感じさせる内容になっているのです。
しかし、エル・シルボンの物語はただ恐ろしいだけでなく、子供たちに対しての教訓を含んいることが伺えます。
エルシルボンの物語は、地元の人々にとっては恐怖の象徴であり、同時にそれぞれの地域の歴史と文化の一部でもあるのです。
最後までお付き合い頂きありがとうございます。またのご来館をお待ちしています。