『遠野物語』をご存じでしょうか?
柳田国男が明治43年に発表した説話集で、岩手県遠野地方に伝わる逸話や伝承をまとめた作品です。
日本の民俗学の先駆けとされ、多くの人々に愛読されています。
その中で「デンデラ野」は、悲しい伝承を持つ場所として知られています。
そして、現在では岩手県の心霊スポットとしても有名です。
本記事では、デンデラ野にまつわる切ない物語を掘り下げてご紹介します。
岩手県の心霊スポット『デンデラ野』とは



『デンデラ野(でんでらの)』は、岩手県遠野市に存在する史跡です。
「デンデラ野」は、柳田国男の『遠野物語』第111話「ダンノハナと蓮台野」に登場。
姥捨て伝説の地として知られています。
「蓮台野(れんだいの)」が訛って「デンデラ野」になったと伝えられています。
この地では、60歳を超えると、デンデラ野に移り住む習慣があったそうです。
彼らは自分達で小屋を建て、畑を耕しながら自給自足の生活を送ります。そして、日中は里に下りて農作業を手伝い、夕方にはデンデラ野に戻る生活を続けました。
里とデンデラ野を行き来することは「ハカダチ」、「ハカアガリ」と呼ばれていました。
デンデラ野の近くには「ダンノハナ」と呼ばれる場所があり、ここは墓場や火葬場として使われていたとされています。
このことから、デンデラ野は生と死の境界を象徴する場所とも考えられています。
また、夜中にデンデラ野で歌声が聞こえると、人が死ぬ前兆と言い伝えもあるそうです。
現在、デンデラ野は遠野市の有形文化遺産に指定されています。さらに「遠野遺産第21号」に登録されて、当時の住居を再現した小屋が建てられています。
『デンデラ野』で起こる心霊現象

すすり泣く声が聞こえる
デンデラ野では、夜間にすすり泣く声が聞こえるという噂があります。
この声は、かつてここで亡くなった老人たちの悲しみや後悔の気持ちだとされています。
姥捨ての習慣で、最期を迎えた人の無念が、この地に残り続けているのかもしれません。
また、耳を澄ませると、遠くから響くような声が聞こえることがあるといいます。
その声は、一度聞いたら忘れられないほど悲痛な響きを持っているそうです。
心霊写真が撮れる
デンデラ野では、心霊写真が撮影されることがあると言われています。
写真には、白い人影や、不自然に光る眼のようなものが写り込むことがあるそうです。
夜や霧の立ち込める朝方に写真を撮影すると、心霊写真が撮れやすいと言われています。
悲痛な叫び声が聞こえる
夜のデンデラ野では、老人の叫び声のようなものが聞こえるという噂があります。
叫び声は、棄てられた老人たちの絶望感や恐怖の残響ではないかと言われています。
その声は、風に乗って広がります。その結果、耳を澄ませるとどこからともなく聞こえてくるのです。
この叫び声を聞いた人は、胸が苦しくなるような感覚を覚えたそうです。
幽霊の目撃情報がある
デンデラ野では、幽霊の目撃情報もあります。
これらは、迷いながら亡くなった老人たちの執念が形を持ったものだと言われています。
遠くに佇む人影や、木陰からじっと見つめる視線を感じたという体験を語る人もいます。
ウワサされる心霊現象
- すすり泣く声が聞こえる。
- 心霊写真が撮れる。
- 悲痛な叫び声が聞こえる。
- 幽霊の目撃情報がある。
『デンデラ野』の場所
住所 | 〒028-0552 岩手県遠野市土淵町山口3地割31 |
最寄り駅 | JR釜石線『遠野駅』 |
アクセス | 遠野駅から岩手県交通バスの「西内」行きか「恩徳」行きに乗車し、「山口」バス停で下車 |
備考 | バスの運行本数が少く、特に午後の便は少ない可能性があります |

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『デンデラ野』で過去に起きた事件・事故
デンデラ野はかつて、『姥捨て山』として使用されていた場所です。
そのため、この地では多くの老人が最期を迎えるまで自給自足の生活を送っていました。
毎日を必死に生き延びて、最後は孤独に命を落とすことになったと言われています。
多くの老人は覚悟を決めていましたが、迷いを抱えたまま亡くなる老人もいたようです。
『デンデラ野』心霊スポット化の理由を考察

デンデラ野が心霊スポットとして語り継がれる理由
- 歴史的背景
- デンデラ野は『遠野物語』に登場する姥捨て伝説の舞台である。
- 老人が家族から切り離され、孤独に最期を迎えた場所とされている。
- この悲劇的な歴史が強い感情を呼び起こし、土地に負のイメージを与えた。
- 心理的要因
- 人間の脳は未知の現象を理解する際に、音や影を霊的な存在に置き換えることがある。
- 真っ暗な自然環境での風の音や木々の揺れが、人の声や影に感じられることがある。
- 噂されるすすり泣く声や叫び声は、心理的要因と地域の伝承が相互に作用している。
- 自然環境の影響
- 遠野地方は豊かな自然と静寂に包まれている。
- デンデラ野は山間にあり、夜間は明かりが少なく、薄暗い森や霧が発生する。
- 視覚や聴覚に影響を与え、人々の不安を煽る環境がある。
- 地域の伝承
- 地域の歴史や伝承が、人々の恐怖感や神秘性を強めている。
- これらの伝承が、心霊スポットとしてのイメージをさらに助長している。
このような要因が心霊スポット化に関与していると考えられます。
多くの要素が複雑に絡み合い、デンデラ野は心霊スポットになっていったのでしょう。
『デンデラ野』訪問時の注意点
デンデラ野は、現在では心霊スポットとして知られています。
しかし、過去の歴史を現代に伝える貴重な文化財です。
訪れる際は、歴史や文化への敬意を持って行動してください。
また、夜間は視界が悪いため日中に訪問した方が良いでしょう。
デンデラ野付近で生活している方もいます。
地元住民の迷惑にならないようにしてください。
夜間に大声で騒いだり、ゴミを放置したりせず、安全に散策を楽しみましょう。
まとめ
本記事では、岩手県の心霊スポット『デンデラ野』を紹介して来ました。
デンデラ野は、口減らしのために老人を捨てる『姥捨て山』のように使われた場所です。
昔は、食物の不足から、悲しい口減らしが日本各地で行われていました。
そういった伝承を知ると、現在の我々がいかに恵まれているのかを思い知ります。
先人たちに感謝を忘れずに日々の生活を送りたいものです。
本記事を読んで『デンデラ野』に興味を持った方もいることでしょう。
しかし、訪問する場合は、悲しい出来事が起きた場所であることを忘れないで下さい。
そして、先人に敬意をもって訪問するようにしましょう。