京都府京都市の東山区と山科区を結ぶ旧東山トンネル——別名花山トンネル。
その古びた外観は時の流れを感じさせ、昼間でも薄暗く、訪れる者に一抹の不安を抱かせます。
このトンネルは、かつて処刑場や墓地、火葬場に囲まれていた場所に位置し、その歴史的背景から、多くの心霊現象の噂が絶えません。
肝試し目的で訪れた者たちの多くが、何かしらの異変を感じると言います。
旧東山トンネルには、どのような過去があり、どのような怪異が報告されているのでしょうか。
本記事では、京都府京都市の心霊スポット旧東山トンネルについて、その歴史や噂される現象を紹介します。
京都府京都市の心霊スポット『旧東山トンネル』とは



『旧東山トンネル(花山トンネル)』は、京都府京都市東山区清閑寺山ノ内町と山科区北花山大峰町を結ぶ歩行者用トンネルです。
全長141メートル、幅4.0メートル、高さ3.4メートルの煉瓦造りのトンネルで、内部はコンクリートで補強されています。
山科区側の坑口には「花山洞」の扁額が掲げられ、東山区側の坑口には「方軌通門」の扁額があり、建設当初の面影を今に伝えています。
1899年(明治32年)2月18日、渋谷街道の改修計画が京都府会に提出され、翌1900年(明治33年)12月に予算が可決されました。
この計画の一環として、渋谷峠を越える交通の便を改善するためにトンネルの建設が決定されます。
1902年(明治35年)4月3日に工事が開始され、1903年(明治36年)4月28日に完成。同年5月19日に開通式が行われました。
旧東山トンネルは、長い歴史を持つトンネルですが、建設中の具体的な事故の記録は見つかっていません。
同時期に建設された他のトンネルでは崩落事故が発生した例もあるため、当時の技術や安全基準を考慮すると、比較的安全に配慮された工事が行われたことがうかがえます。
旧東山トンネルは、その歴史的価値が認められ、「日本の近代土木遺産」(ランクC)に指定されています。
また、2019年と2020年には補修工事が行われ、PCL(プレキャストコンクリートライニング)工法によって内部が補強されました。
現在も地域の人々に利用され、歴史的景観の一部として保存されています。
『旧東山トンネル』で起こる心霊現象

トンネル内で聞こえる足音と囁き声
旧東山トンネルの中を歩いていると、後ろから足音がついてくるという噂があります。
しかも、その足音は自分の歩調とぴったり合うわけではなく、時折遅れたり、急に速くなったりするため、まるで誰かが後をつけているような感覚に襲われるそうです。
しかし、勇気を振り絞って振り返ると、そこには誰の姿もない——。
さらに、足音だけでなく、不気味な囁き声が聞こえたという証言もあります。
何かを呟くような声や、複数人がひそひそと会話しているような声が、耳元でふっと響くことがあるとのこと。
しかし、内容をはっきりと聞き取ることはできず、ただ「助けて……」や「帰れ……」といった言葉だけが、不意に聞こえてくることがあるのだとか——。
武者の霊と着物姿の女性
旧東山トンネル周辺は、平安時代から葬送の地とされ、戦国時代には戦場としても利用された歴史があります。
そのためか、武士の霊が目撃されることがあると言われています。
トンネルの入口付近で、鎧兜を身にまとった武士が立っていたという証言や、トンネル内をゆっくりと歩いていたという目撃情報もあります。
また、着物姿の女性の霊が現れるという話も伝えられています。
トンネルの奥へと進むと、白い着物を着た女性がじっとこちらを見つめていたそうです。
しかし、再び目を向けると、そこには何もいなかったと言われています……。
車の窓に浮かぶ手形
車で旧東山トンネルを訪れた人の中には、トンネルを抜けた後、車の窓に無数の手形が残っていたと語る者がいます。
特に、バックミラーや後部座席の窓に手形が現れるケースが多いようです。
まるで、誰かが「置いていかないで……」とすがるように、ガラスに手を押し付けたかのようだったそうです。
この現象が起こるのは、特に深夜が多いと言われています。
また、車で通過する際、視界の隅に誰かの姿を見たと思った次の瞬間、窓に手形が現れていたという証言もあります。
さらに恐ろしいのは、拭き取ったはずの手形が、しばらくすると再び浮かび上がってくることがある点です。
これは、トンネルに取り残された霊が、車に乗り込もうとしているのかもしれません……。
ウワサされる心霊現象
- トンネル内で聞こえる足音と囁き声。
- 武者の霊と着物姿の女性が出現する。
- 車の窓に浮かぶ手形の噂がある。
『旧東山トンネル』の場所
住所 | 京都府京都市山科区上花山旭山町 |
最寄り駅 | 京都市営地下鉄東西線「蹴上駅」 |
アクセス | 蹴上駅から徒歩約20分 |
備考 | 夜間は非常に暗いため、足元に注意が必要 |

私有地に無断で立ち入ると罪に問われます。絶対にやめましょう。
『旧東山トンネル』で過去に起きた事件・事故
土地の歴史
旧東山トンネルの近隣には、かつて処刑場が存在していたと言われています。
この処刑場では、多くの罪人が命を落としたと伝えられています。また、当時は冤罪も現在以上に多く、無実の罪で処刑された者も少なくなかったと考えられます。
さらに、戦国時代にはこの地が幾度となく戦の舞台となり、多くの武士たちが討ち死にしたとも伝えられています。

他にもこの地域は、平安時代から「鳥辺野」と呼ばれ、風葬の地として多くの遺体が葬られてきたさそうです。
『旧東山トンネル』心霊スポット化の理由を考察

旧東山トンネルが心霊スポットとして知られるようになった背景には、その歴史的な経緯が深く関係していると考えられます。
平安時代から葬送の地とされ、処刑場が存在したこと、さらに幾多の戦で多くの命が失われたこと——。
こうした要因が重なり、この地には多くの霊が留まっていると信じられるようになったのでしょう。
さらに、トンネル自体の古びた雰囲気や、周囲の薄暗い環境が、その心霊スポットとしてのイメージを一層強めていると考えられます。
『旧東山トンネル』訪問時の注意点
旧東山トンネル(花山トンネル)を訪れる際は、安全の確保とルールの遵守を心がけてください。
トンネル内はコンクリートで補強されていますが、老朽化が進んでおり、必ずしも安全とは言い切れません。
特に足元は不安定な箇所があり、照明も十分とは言えません。
夜間の訪問は避けるべきですが、昼間であっても、動きやすく肌の露出が少ない服装や歩きやすい靴を着用し、懐中電灯などの明かりを持参しましょう。
また、このトンネルは地元の方が利用し、歴史的な価値のある場所でもあります。迷惑行為は厳禁であり、落書きや破壊行為は絶対にやめましょう。
まとめ
本記事では、京都府の心霊スポット「旧東山トンネル(花山トンネル)」の情報を紹介しました。
旧東山トンネル(花山トンネル)は、その歴史的背景や土地の因縁から、多くの心霊現象が報告されている場所です。
昼間は静かな古道の一部ですが、夜になるとその雰囲気は一変し、訪れる者に恐怖を感じさせる不気味な空間へと変わります。
しかし、こうした場所を訪れる際には、興味本位ではなく、安全とマナーを遵守することが重要です。
不必要に騒いだり、軽率な行動を取ると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
旧東山トンネルを訪れる際は、安全面に十分配慮し、自己責任のもとで慎重に行動するよう心がけましょう。