2026年の2月13日は、金曜日。そう、都市伝説やオカルト界隈では多くの人が湧きたつ『13日の金曜日』なのです。
ホラー映画の傑作『13日の金曜日』の影響で、チェーンソー(実際はマチェットですが)を持った殺人鬼ジェイソンのイメージが定着しているこの日付。
しかし、ジェイソンが登場する遥か昔、中世や神話の時代から、人類はこの日を本能的に恐れてきました。
単なる迷信だと笑い飛ばすことは簡単ですが、世界中でこれほど長い間、多くの人に忌み嫌われ続ける日付が他にあるでしょうか?
医学的に見れば、「13日の金曜日恐怖症(パラスケヴィデカトリアフォビア)」という名称が存在するほど、『13日の金曜日』は人々の精神に根付いています。
なぜ「13」と「金曜日」が重なると不吉だと言われるのか。
その起源を紐解くと、そこには宗教的なタブー、神殺しの伝説、そして歴史の闇に葬られた血塗られた粛清劇が浮かび上がってきます。
今回は、都市伝説の観点からこの呪われた日付の真実を暴いていきましょう。
「13日の金曜日」とは?

『13日の金曜日』は、英語圏やキリスト教圏、ドイツ、フランスなどで「不吉な日」とされる迷信です。
日本で言うところの「仏滅」に近いニュアンスと捉えておけば間違いないでしょう。
ホラー映画『13日の金曜日』が話題になってからは、日本でも広く知られるようになりますが、元々は映画に関係ない西洋の文化や宗教観に基づいた日付なのです。
なぜ13日の金曜日なのか?戦慄の3つの起源

この日が不吉とされる理由には諸説ありますが、起源として最も有力だと言われているのは「キリスト教」「北欧神話」「テンプル騎士団」にまつわる3つの説です。
それぞれについて、深く掘り下げて解説していきます。
キリスト教の影響
「13日の金曜日」が不吉とされる最大の要因は、西洋社会の根幹をなすキリスト教にあると言われています。
その内容は「忌み数」と「忌み日」の2つの要素が重なってるようです。
まず「13」という数字についてですが、これは、新約聖書における『最後の晩餐』の場面が由来とされています。
イエス・キリストと12人の弟子がテーブルを囲みましたが、13番目の席に座ったのが、後にイエスを裏切るユダでした。
このことから「13人が食卓を囲むと、そのうちの一人が死ぬ」という迷信が生まれ、13は裏切りと死を招く不吉な数字として定着したと言われています。
次の不吉の由来は、「金曜日」です。イエスと12人の使徒(弟子)が会食をした『最後の晩餐』が聖木曜日で、翌日の金曜日にイエスは十字架にかけられ処刑されました。
このように、キリスト教圏において「最も忌むべき数字(13)」と「悲劇が起きる曜日(金曜日)」が重なる日は、偶然ではなく必然的な災いの日として恐れられるようになったとされています。
旧約聖書に遡ると、イブがアダムに禁断の果実を勧めたのも、カインが弟アベルを殺害したのも、ノアの大洪水が始まったのも、すべて金曜日だったという伝承が存在しているようです。
北欧神話
次に有力なのが、『13日の金曜日』は、北欧神話に由来しているという説です。
キリスト教が広まる以前、北欧神話の世界でも「13」は災いを呼ぶ数字でした。この説の起源は、神々の国アスガルドで開かれた祝宴の物語にあるようです。
ある日、主神オーディンをはじめとする12人の神々がヴァルハラ宮殿に集まり、宴を楽しんでいました。
そこへ突然、招かれざる客である悪戯好きの神「ロキ」が乱入してきます…。これで祝宴の参加者は13人となりました。
そして、ロキは宴に参加しただけではなく、出席者の中にいた盲目の神ヘズを騙し、光と幸福の神である「バルドル」に向かってヤドリギの枝を投げさせました。
ヤドリギはバルドルの唯一の弱点であり、胸を貫かれたバルドルは命を落とします。世界から愛された光の神の死によって、世界は闇と悲しみに包まれました。
この悲劇的な神話から、北欧やゲルマン民族の間では「13番目の客は死を招く」という強いジンクスが生まれました。
この伝承が長い時間をかけて西洋社会の「13恐怖症」の根底に流れる意識を形成し、後のキリスト教的な解釈と混ざり合っていったと考えられています。
テンプル騎士団の悲劇
3つ目の説は、神話や宗教上の伝承とは異なり、明確な「史実」として残されています。
13日の金曜日の恐怖を決定づけたとされる歴史的な出来事は、テンプル騎士団にまつわる事件です。
中世ヨーロッパで絶大な権力と富を持っていたテンプル騎士団に対し、フランス王フィリップ4世は多額の借金を抱えていました。
王は借金の踏み倒しと騎士団の莫大な資産の没収を画策し、秘密裏に一斉検挙の準備を進めます。そして実行されたのが、1307年10月13日の金曜日でした。
この日の夜明け、フランス全土で騎士団のメンバーが一斉に逮捕されました。
身に覚えのない異端の罪を着せられ、壮絶な拷問の末に多くの騎士が火あぶりの刑に処されたのです。
当時の騎士団総長ジャック・ド・モレーは、処刑される直前、炎の中でフィリップ王とローマ教皇を呪いながら死んでいったと伝えられています。
実際、王と教皇がその後相次いで急死したことから、人々はこれを「騎士団の呪い」と恐れました。
歴史のなかで起きたこの衝撃的な事件は、13日の金曜日をただの迷信から「現実的な恐怖と悲劇的な呪いの日」へ昇華させたと、多くの歴史ミステリーで語られています。

フランス王がひど過ぎます💧
呪いか、偶然か?13日の金曜日に刻まれた「戦慄の記録」と心理の罠

「不吉な日なんて迷信だ」と頭では分かっていても、カレンダーにその日付が現れると、どこか薄ら寒いものを感じる…。その感覚は、あながち間違いではないかもしれません。
歴史を紐解くと、この日には世界を震撼させた大事故や不可解な事件が確かに多発しているからです。
単なる確率論では片付けられない、13日の金曜日の「暗黒の履歴」と、その裏にある心理的真実に迫ります。
雪山に消えた45人の運命:ウルグアイ空軍機遭難事故
1972年10月13日の金曜日、航空史上最も過酷なサバイバル事件として知られる悲劇が幕を開けました。
ウルグアイの大学ラグビーチームを含む45人を乗せた空軍機が、アンデス山脈を飛行中に乱気流とパイロットの操縦ミスにより、氷河へと墜落したのです。
捜索は難航を極め、事故からわずか10日後には「全員死亡」と判断され、捜索活動は打ち切られてしまいます。
マイナス30度という極寒と飢餓、そして絶望的な孤立無援の状況下で、生存者たちは生き延びるために仲間の遺体を口にするという究極の決断を迫られました。
後に映画『生きてこそ(Alive)』のモデルともなったこの事件は、72日後に自力で雪山を下山した2名の決死の行動により16名が奇跡的に生還を果たしましたが、人間の尊厳と生存本能を世界に問いかける壮絶なドラマとして歴史に刻まれています。
王宮を襲った爆撃:バッキンガム宮殿の危機
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツによるロンドン空襲が激化していた1940年9月13日の金曜日にも、国家を揺るがす事件が起きています。
当時のイギリス国王ジョージ6世とエリザベス王妃が滞在していたバッキンガム宮殿のチャペルに、ドイツ軍の爆撃機が5発の爆弾を投下したのです。
爆弾は王夫妻がいた場所からわずか数メートルの地点に着弾しましたが、奇跡的に大きな被害を免れ、夫妻は無事でした。
この「不吉な日の災難」は、意外な形で国民を勇気づけることになります。
死の淵を見た王妃が「これで私も空襲被害を受けたイーストエンドの人々に顔向けができます」と語ったことで、王室も国民と同じ危険を共有しているという連帯感が生まれ、イギリス国民の士気は大いに高まりました。
現代のタイタニック:コスタ・コンコルディアの座礁
記憶に新しい現代の海難事故も、この日に起きています。
2012年1月13日の金曜日、イタリアの豪華客船コスタ・コンコルディア号が、地中海のジリオ島付近で岩礁に衝突し、横転・座礁するという大事故が発生しました。
この事故は、船長が観光客へのサービスとして島に近づきすぎたことや、事故後の避難誘導の遅れ、さらには乗客を残して船長が先に逃げ出すという、明らかな「人災」の側面が強いものでした。
しかし、最新鋭の設備を持つ巨大船があっけなく転覆する姿は、かつてのタイタニック号の悲劇を彷彿とさせ、32名もの犠牲者を出した事実とともに「13日の金曜日の呪い」としてメディアで大きく取り上げられることとなりました。
市場を襲う「13日の悪夢」と経済心理

金融業界においても、13日の金曜日は「マーケット・アノマリー(理論的根拠のない相場の経験則)」として恐れられています。
象徴的な例が、1989年10月13日の金曜日に起きた「ミニ・クラッシュ」です。
米国の航空会社買収計画の失敗をきっかけにニューヨーク株式市場が暴落し、その恐怖は世界的な株安へと連鎖しました。
ここには明確な投資家心理が働いています。「不吉な日だから取引を控えよう」「何か起きる前に売っておこう」という集団心理が、市場の流動性を低下させます。
その結果、普段なら無視されるような些細なニュースでも相場が乱高下しやすい不安定な環境が作られ、自ら暴落を招いてしまうのです。
呪いの正体:心理学が解き明かす「予言の自己成就」
なぜ、こうも事故や混乱が続くのでしょうか。科学的な視点では、これを「予言の自己成就」という心理現象で説明します。
「今日は不吉だ」「何か悪いことが起きるかもしれない」と強く意識することで、脳は過度な緊張状態(ストレス)に陥ります。
この緊張が注意力を散漫にさせ、視野を狭くし、普段なら絶対にしないような判断ミスや操作ミスを誘発してしまうのです。
さらに「確証バイアス」も働きます。平日に起きる事故はすぐに忘れてしまいますが、13日の金曜日に起きた事故だけは「やっぱり不吉な日だ!」と記憶に強く結びつけられます。
つまり、呪いの正体は外部にある超自然的な力ではなく、不安や恐怖によって自ら災いを引き寄せてしまう、私たち自身の心の中にあるのかもしれません。
【豆知識】日本と世界で違う「恐怖の対象」
世界中が13日の金曜日を恐れているかというと、実はそうではありません。
国や文化が変われば、恐怖の対象となる数字も変わります。
例えばイタリアでは、「13」よりも「17日の金曜日」が死の日として恐れられています。
これはローマ数字の「17(XVII)」のアナグラムが「VIXI(私は生きた=今はもう死んでいる)」となるためです。
一方、スペイン語圏の一部では「13日の火曜日」が不吉とされるなど、バリエーションが存在します。
そして我らが日本。実は日本古来の文化において「13」は決して不吉な数字ではありませんでした。
むしろ旧暦の13日は「十三夜」として月を愛でる日であり、仏教では虚空蔵菩薩の縁日として知恵を授かる吉日です。
日本人がこの日を怖がるようになったのは、戦後のアメリカ映画やミステリー小説の影響による「輸入された恐怖」に過ぎないのです。
【まとめ】13日の金曜日を平穏に過ごすために
この記事では、『13日の金曜日』について、なぜ不吉とされているのか?その謂れの始まりは?といった内容を調べて解説しました。
ここまで見てきたように、「13日の金曜日」にまつわる恐怖の正体は、歴史的な悲劇や宗教的背景、そして「不吉だ」と信じ込む私たちの心理状態が作り出した複合物と言えます。
しかし、古くから伝わる「やってはいけない」とされる禁忌には、現代でも通用する教訓が隠されています。
新しい門出を控える、鏡などの割れ物に注意する、13人での会食を避けるといった迷信は、言い換えれば「過度な緊張を避け、慎重に過ごせ」という先人からの知恵かもしれません。
西洋では、もし塩をこぼしたら左肩越しに投げ、厄を払うというおまじないも存在します。
科学的に見れば呪いの正体は「不安が生む不注意」です。
2026年2月13日、あなたがこの日を単なるカレンダーの一日として笑い飛ばすか、あるいは見えない影に怯えて過ごすかは、あなた自身の心の持ちよう次第なのです。
信じるか信じないかはあなた次第ですが、この日ばかりは、いつもより少しだけ丁寧に、心穏やかに過ごしてみてはいかがでしょうか。
