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人喰い巨女グリーラと13人の息子!アイスランドの悪夢が聖夜に襲来

世界中が聖なる夜を祝い、子供たちが赤い服の老人の来訪を待ちわびるクリスマス。しかし、世界は広く、全ての場所で「良い子にプレゼント」が約束されているわけではありません。

北欧の島国、火山と氷河に閉ざされたアイスランド。この国では、クリスマスの時期(ユール)になると、サンタクロースとは似ても似つかない、おぞましく恐ろしい家族が山から降りてきます。

その中心にいるのは、絶えず飢えに苦しみ、子供の肉を何よりも好む巨大な女トロール「グリーラ(Grýla)」。そして、彼女が引き連れている「13人の息子たち(ユール・ラッズ)」です。

彼らはプレゼントを配るためにやって来るのではありません。 家々に侵入すると、食料を盗み、家具を荒らし、そして運の悪い子供を袋に詰めて連れ去ってしまうのです。

もしあなたが「海外の珍しいクリスマスの話」としてこの記事を読んでいるなら、ほんの少しだけ覚悟してください。ここにあるのは、キラキラした夢や希望ではなく、長く厳しい冬が生んだ「生存への恐怖」そのものなのです。

今回の記事では、アイスランドの長い夜に語り継がれる最恐のクリスマス・モンスター、「グリーラと13人の息子」の全貌に迫ります。

人喰い巨女「グリーラ」と13人の息子とは?

「グリーラ(Grýla)」は、アイスランドの民間伝承に登場する女の巨人(トロール)で、同国におけるクリスマスの恐怖の象徴です。

彼女の容姿についての伝承は多岐にわたりますが、共通しているのは「直視に耐えない醜悪さ」です。

ある説では、彼女には3つの頭があり、それぞれの口には鋭い牙が3列に並んでいると言われます。

また、目玉が後頭部にもついていたり、ヤギのような角と蹄(ひづめ)を持っていたり、耳が肩まで垂れ下がっているとも伝えられています。

グリーラは常に大きな袋を持ち歩いており、山から降りてきては「言うことを聞かない悪い子」や「泣いている子」を見つけて袋に詰め込みます。

そして住処に持ち帰ると、生きたまま大鍋で煮込んでシチューにして食べてしまうのです。彼女の食欲は底なしで、どれだけ子供を食べても満腹になることはありません。

そして、グリーラには「ユール・ラッズ(Jólasveinarnir)」と呼ばれる13人の息子たちがいます。

彼らもまたトロールの血を引く怪物ですが、母親ほど凶暴ではなく、どちらかと言えば「悪質な愉快犯」に近い性質を持っています。

彼らはクリスマスの13日前(12月12日頃)から1日1人ずつ山から降りてきて、人間界で悪さを働き、クリスマスが終わるとまた1人ずつ山へ帰っていくのです。

さらに、この一家には「ユール・キャット(Jólakötturinn)」という巨大な黒猫のペットもいます。

この猫は、クリスマスに新しい服を着ていない人間を見つけると、子供だろうが大人だろうが食べてしまうという、理不尽極まりない怪物理論で動いています。

やだー⁉最初から最後まで絶望しかないじゃないですか!

かなり理不尽な存在のようですね…。

人喰い巨女「グリーラ」と13人の息子の誕生

「グリーラ」という名前自体は非常に古くから存在し、13世紀の「スノッリのエッダ(北欧神話の詩学書)」や「ストゥルルンガ・サガ」にもその名が登場します。

しかし、当初は特定の姿を持たない「恐怖」や「脅威」の象徴として描かれており、必ずしもクリスマスと結びついた存在ではありませんでした。

彼女が現在のように「クリスマスの子供をさらう魔女」として定着したのは、17世紀頃だと言われています。

当時のアイスランドはデンマークの支配下にあり、過酷な貧困と厳しい気候に苦しんでいました。

長く暗い冬の間、子供たちを家の中に留め置き、危険な外へ出さないようにするための「躾(しつけ)のための怪談」として、グリーラの伝説は具体的かつ残酷に進化していきました。

一方、13人の息子たち(ユール・ラッズ)の起源も複雑です。かつては彼らの人数も名前も地域によってバラバラで、凶悪な殺人鬼として描かれることもありました。

しかし、時を経るにつれて「13人」という数に固定され、それぞれの性格や悪事の内容も体系化されていきました。

興味深い歴史的事実として、1746年にデンマーク政府が「グリーラやユール・ラッズの怪談を用いて子供を脅すことを禁止する」という公的な布告を出した記録が残っています。

これは裏を返せば、当時の子供たちにとって彼らの伝説があまりにも恐ろしく、精神的なトラウマを植え付けるほどの社会問題になっていたことを示唆しています。

国家が禁止令を出さなければならないほどの「実害」があった都市伝説。それがグリーラ一家の起源なのです。

恐怖⁉13人の息子たちの手口

グリーラの息子たち「ユール・ラッズ」は、12月12日から24日にかけて、毎晩一人ずつ順番に家々を訪れます。

彼らの名前はその「悪事の手口」を表しています。以下にそのリストを紹介します。遭遇した際の参考にしてください。

  1. ステッキヤル・スタウル(羊小屋の変人):12月12日来訪。羊のミルクを盗もうとしますが、足が棒のように硬直しているため上手くいきません。
  2. ギルヤ・ガウル(谷間ののぞき屋):12月13日来訪。牛小屋に忍び込み、牛乳を盗み飲みします。
  3. ストゥーフル(ちび):12月14日来訪。背が非常に低く、フライパンに残った焦げ付きを食べるために盗みます。
  4. スヴォル・レイキル(スプーン舐め):12月15日来訪。長い舌を使って、木のスプーンについた料理の残りを舐め取ります。
  5. ポッタ・スケフィル(鍋舐め):12月16日来訪。残り物がついた鍋を盗み出し、綺麗に舐め回します。
  6. アスカ・スレイキル(器舐め):12月17日来訪。ベッドの下に隠れていて、床に置かれた食器(アスクル)を舐めます。
  7. フルザ・スケルリル(ドア叩き):12月18日来訪。夜中に突然ドアを激しく叩き、人々を睡眠不足に陥れます。
  8. スキール・ガウマル(スキール食い):12月19日来訪。アイスランドの国民食であるヨーグルト「スキール」を盗み食いします。
  9. ビュグナ・クレイキル(ソーセージ泥棒):12月20日来訪。燻製にするために天井に吊るしてあるソーセージを盗みます。
  10. グルッガ・ガイー(窓のぞき):12月21日来訪。窓から家の中をジロジロと覗き込み、盗めるものを物色します。
  11. ガッタ・セヴル(ドアの隙間嗅ぎ):12月22日来訪。異常に長い鼻でドアの隙間から家の中の匂いを嗅ぎ、パン(リーフ・ブレッド)を探します。
  12. ケット・クロウクル(肉フック):12月23日来訪。煙突などからフックを垂らし、燻製肉を釣り上げて盗みます。
  13. ケルタ・スニキル(ロウソク乞食):12月24日来訪。子供たちが持っているロウソク(当時は獣脂で作られており、食用にもなった)を奪い取ります。

彼らは「盗み」や「騒音」といった、地味ながらも精神的に追い詰められる嫌がらせを執拗に行うのです。

グリーラと13人の息子の恐怖とは!

人喰い巨女「グリーラ」と13人の息子たちが多くの人に恐れられる最大の理由は、「家という安全地帯への侵入」と「逃げ場のない環境」がセットになっている点でしょう。

アイスランドの冬は日照時間が極端に短く、太陽がほとんど昇りません。外は猛吹雪と氷点下の世界です。子供たちにとって、家の中だけが唯一の安全な場所であり、暖かく過ごせる聖域でした。

しかし、グリーラと息子たちの伝承は、「鍵をかけていても、彼らは家の中に入ってくる」という絶望を突きつけます。

ドアを叩く音(フルザ・スケルリル)、窓からの視線(グルッガ・ガイー)、天井裏の足音…。冬の嵐の音に紛れて聞こえる物音全てが、「怪物の侵入」を感じさせるのです。

そして、もし捕まれば「食べられる」という原始的な捕食への恐怖。グリーラのシチュー鍋の話は非常に具体的で、「指一本残さず食べられる」「骨までしゃぶられる」といった描写が、子供たちの想像力を最悪の形で刺激します。

また、ペットの「ユール・キャット」も恐怖を助長する存在といえるでしょう。

「新しい服をもらえない=食べられる」という理不尽なルールは、「貧困であれば死ぬ」という当時の過酷な現実を、子供心に深く刻み込むものでした。

努力して働き(昔は子供も羊毛加工を手伝いました)、新しい服を手に入れなければ殺される…。この「労働の強制」と「生存競争」が、恐怖の根源にあるのです。

グリーラと13人の息子の存在意義を考察

なぜ、これほどまでに救いのない怪物が、クリスマス(本来はイエス・キリストの降誕を祝う愛の日)の主役として君臨し続けたのでしょうか。

そこには、アイスランド特有の「自然環境への畏怖」と「社会的な生存戦略」が見え隠れします。

第一に、アイスランドの自然環境の厳しさです。冬の屋外で迷子になることは、文字通り「死」を意味します。親たちは子供を脅してでも、絶対に家の外に出さないようにする必要がありました。

「外にはグリーラがいる」という嘘は、子供の命を守るための、親たちの悲痛な愛の形だったとも言えます。

第二に、冬の間の生産性維持です。かつてのアイスランドでは、クリスマスまでに羊毛の刈り取りと加工を終えることが重要な産業サイクルでした。

「ユール・キャット」の伝説は、子供や召使いに対し「早く仕事を終わらせないと新しい服が手に入らず、猫に食われるぞ」と勤労を促すための強烈なモチベーション管理ツールとして機能していたのだと考えられます。

また、キリスト教伝来以前の「ユール(冬至祭)」は、死者の霊や魔物が現世に近づく危険な時期とされていました。

グリーラの姿は、古代の冬の精霊や、自然界の荒々しいエネルギーが擬人化されたものとも考えられます。

つまり彼らは、ただの悪役ではなく、「厳しすぎる自然の中で人間が生き延びるために必要だった、恐怖という名の知恵」の結晶だったのではないでしょうか。

まとめ

この記事では、アイスランドのクリスマス・モンスター、人喰い巨女「グリーラ」と13人の息子たちの伝承を紹介しました。

彼らは、プレゼントを配る優しいサンタクロースとは対極に位置する、飢えと略奪の象徴です。

しかし、その恐ろしい伝承の裏側には、極寒の地で子供を守り、冬を越そうと必死に生きた人々の生活の知恵が隠されていました。

現代では、彼らも少しマイルドになり(法規制や時代の変化もあり)、クリスマスの時期に街へ現れては子供たちの靴の中にお菓子を入れてくれる(悪い子にはジャガイモを入れますが)、少しイタズラ好きなキャラクターとして愛されています。

それでも、クリスマスの夜にふと窓の外を見た時、あるいは台所で妙な物音がした時、思い出してください。

かつてその音は、風の音ではなく、腹を空かせたトロールたちが、あなたの家のドアを探っている音だったかもしれないということを。

もし新しい服を着ていないなら、急いで着替えた方がいいでしょう。窓の外で、巨大な黒猫が目を光らせているかもしれませんから。

あわわわ、私たち1年中同じ服で過ごしてますよッ!食べられちゃいます‼

あら、私は新しい着物を下したわよ?

うそっ!ひとりだけズルいです!

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