東京都八王子市、緑に包まれた閑静な住宅街の一角に、「上柚木公園」と呼ばれる広大な都市公園があります。
昼間は子どもたちの笑い声が響き、ランニングに勤しむ人々の姿も見られる、地域住民にとっての憩いの場です。
しかし、陽が落ち、あたりが静寂に包まれはじめる頃、公園はまるで“別の顔”を見せるといいます。
空気が一変し、静まり返った木立の合間に、誰もいないはずのベンチに腰かける“何か”の気配――。
聞こえるはずのない声、肌を刺すような寒気、不自然に揺れる街灯。
そんな不可思議な現象が、公園を訪れる人々のあいだで密かに語り継がれ、やがて「上柚木公園は心霊スポットである」という噂が流れるようになっていったのです。
人目を避けるように佇むこの公園には、過去に起きた出来事、あるいはこの土地そのものに纏わる“何か”が、静かに息をひそめているのかもしれません。
今回は、その静けさの奥に秘められた闇に触れながら、「上柚木公園」の実像と噂を掘り下げていきましょう。
東京都の心霊スポット『上柚木公園』とは


『上柚木公園(かみゆぎこうえん)』は、東京都八王子市南部・上柚木地区に位置する、総面積約14.5ヘクタールの広大な都市公園です。
地域の自然環境を活かして整備された緑豊かな空間であり、都市部における貴重な緑地として、環境保全や地域住民の健康促進を目的に造成されました。
現在では、スポーツやレクリエーション、地域交流の場として、多様な役割を担っています。
園内には、野球場や多目的広場、テニスコートといった本格的な運動施設に加え、子ども向けの遊具広場や、自然に触れながら歩ける散策路も整備されています。
平日には学校の体育やクラブ活動が行われ、休日には地域スポーツ団体の試合や練習が見られるほか、春や秋には地域の祭りやマルシェなどのイベントも盛んに開催されています。
また、ジョギングや犬の散歩、野鳥観察など、日常の癒やしの場として親しまれており、地域コミュニティの交流を支える核としての役割も果たしています。
公園の規模と施設

上柚木公園内には以下の主要な施設があります:
- 多目的広場:スポーツやイベントに利用される広々としたスペースです。
- 野球場:公式試合も開催可能な設備を備えています。
- テニスコート:複数面あり、予約制で利用できます。
- 遊具エリア:子供向けの遊具が設置されており、家族連れに人気です。
- 散策路:自然を感じながら歩けるコースが整備されています。
多様な利用方法

上柚木公園は以下のように多目的に利用されています:
- スポーツ活動:地元のスポーツクラブや学校が練習や試合に利用しています。
- イベント開催:地域の祭りやフリーマーケットなど、多様なイベントが行われます。
- レクリエーション:ジョギング、ウォーキング、ピクニックなど、日常的な憩いの場として親しまれています。
- 自然観察:四季折々の植物や野鳥を観察でき、自然愛好家にも人気です。
上柚木公園は、地域コミュニティの中心的な存在として、多くの人々に利用されています。
『上柚木公園』で起こる心霊現象

人影の目撃
上柚木公園では、日が沈み、周囲が闇に包まれはじめる頃、謎の人影を目にしたという噂が囁かれています。
とくに遊歩道の脇やベンチの近くに、誰かがじっと佇んでいるように見えることがあるものの、近づくとその姿は跡形もなく消えてしまう――
そんな不可思議な現象が、静かに語り継がれているのです。
一説には、かつてこの地で命を落とした人の魂が、“定位置”へと戻ってきているのではないかとも言われていますが、その真偽は定かではありません。
直接的に生者へ害をなすわけではないようですが、目撃者たちは皆、共通して「ただならぬ存在感」を肌で感じたと証言しているのです。
耳元での囁き声
静まり返った夜の公園で、不意に誰かの声が耳元で囁く――そんな現象もまた、上柚木公園で報告されています。
その内容ははっきりとは聞き取れないことが多く、最初は風の音かと思い耳を澄ませても、そこには風の気配すら感じられない……というのが、共通した証言です。
中には、「こっちを見て」「帰れ」といった意味のある言葉を聞いたという例もあり、
その声が女性や子どものものだったとする報告が目立つとも言われています。
特に、周囲に誰もいないことを確認した直後、まるで“すぐ傍”から声が届いたかのような体験が多く語られており、
それが“この場所に何かがいる”という確信を呼び起こす要因となっているようです。
急激な寒さを感じる
公園内を歩いていると、特定のエリアに差しかかった瞬間、まるで冷気が身体を貫くような寒気に襲われる――
そんな体験が語られています。
真夏であっても不意に肌寒さを覚え、空気が重く沈み込むような感覚に包まれ、身体の動きすら鈍るように感じるのだといいます。
霊的な存在は、しばしば周囲から“気”やエネルギーを奪うとも言われており、急激な温度変化はその兆候として捉えられることも少なくありません。
中には、“寒さ”だけでなく、“息苦しさ”や“胸の圧迫感”を訴える人もおり、その場の空気が“何か”に満たされているような印象を受けたという証言もあります。
ウワサされる心霊現象
- 謎の人影の目撃談がある。
- 耳元での囁き声が聞こえることがある。
- 急激に寒くなることがある。
『上柚木公園』の場所
住所 | 〒192-0373 東京都八王子市上柚木2丁目40-1 |
最寄り駅 | 京王相模原線「南大沢駅」 |
アクセス | 南大沢駅から徒歩約15分 バスで「上柚木公園」停留所下車 |
備考 | 夜間の訪問は控え、訪問の際は公園のルールやマナーを守りましょう。 |

私有地に無断で立ち入ると罪に問われます。絶対にやめましょう。
『上柚木公園』で過去に起きた事件・事故

土地に伝わる曰く
上柚木公園周辺は、歴史的にも多くの出来事が折り重なった場所です。
戦国時代、この地は武蔵国多摩郡に属し、由木氏や長井氏、大石氏、そして後北条氏といった領主たちによって支配されてきました。
とりわけ後北条氏の時代には、八王子城が築かれ、1590年の豊臣秀吉による小田原征伐において、前田利家・上杉景勝軍の攻撃によって落城の憂き目を見ています。
これらの歴史的背景を踏まえると、この地域では幾度となく戦が繰り広げられ、多くの兵が命を落としたと伝えられています。
その無念や記憶が、土地の深層に沈殿し、時を超えてなお“気配”として現代に影響を及ぼしているのかもしれません。
公園内での自殺(2005年または2006年頃)
噂によれば、2005年か2006年頃、公園内のトイレで一人の少年が自ら命を絶ったとされています。
この出来事を境に、上柚木公園では心霊現象の報告が急増したともいわれており、
それまで曖昧だった“違和感”が、より具体的な“怪異”として語られるようになったとも解釈できます。
突然の死、若い命、閉ざされた空間――それらが重なり合うことで、“場”の性質に何らかの変調が生じたのかもしれません。
交通事故
上柚木公園と愛宕小学校の間にある道路では、過去に交通事故――ひき逃げ事件による死亡事故が発生しており、現在もバス停のそばにはその痕跡を示す看板が設置されています。
この付近でも、霊の目撃情報や不可解な現象が語られており、通行人のあいだで「何かがいる」と噂されることも少なくありません。
日常の延長線上にあるような場所であるにもかかわらず、ふとした瞬間に“異質な気配”が顔を覗かせる――
そんな“揺らぎ”が、この一帯に広がっているのかもしれません。
『上柚木公園』心霊スポット化の理由を考察

上柚木公園が心霊スポットとして語られるようになった背景には、単なる噂や個人的な怪異譚を超えた、土地そのものが持つ“呪的構造”とでも呼ぶべきものが潜んでいるように思われます。
まず、上柚木一帯は、古くは村落と都市のはざま――すなわち“境界=あわい”の地だったと伝えられています。
日本の民間信仰において「境界」は、極めて特異な意味を持ちます。
川と陸、里と山、死者と生者――異なる世界が接触しやすい“接合点”として、妖異や霊的存在が顕現しやすいと信じられてきました。
上柚木は、自然と都市開発の境目という物理的な条件に加え、かつての「村」の名残が土地に染み付いたまま、都市計画によって断ち切られたという歴史的経緯を持ちます。
この“断絶”と“継ぎ目”が、霊的領域の歪みを生む要因となりうるのです。
また、この地が戦国期における戦場であったという伝承にも注目すべきでしょう。
無念のまま命を落とした人々の「怨念」や「未練」は、しばしば“場所”に宿り、それが後の世に“奇異”や“祟り”として語り継がれます。
これを民俗学では「地霊(ちりょう)」と呼ぶこともありますが、土地に残された死者の記憶が、時間を超えて場の性質を変容させていくという考え方です。
さらに近年においても、不可解な事故や不審な出来事が絶えないという事実は、かつての“地霊”が現在にも影響を及ぼしている証左であるとも解釈できます。
新しい命が芽吹くべき公園という空間に、なぜ“死”の気配が色濃く残るのか――その違和感こそが、民間伝承や都市伝説の火種となり、やがて「怪異の物語」が紡がれていったのではないでしょうか。
そして忘れてはならないのが、“語られること”そのものの力です。怪異は、語られることで“固定化”されていきます。
目撃談や体験談が積み重なることで、ある場所に“異常性”が宿り、それが世代を超えて伝えられるうちに、実際に人々がそこに恐怖を感じるようになる。
こうした現象は、まさに民俗学における「語りの伝承」=「物語の地霊化」とも言えるものであり、場所と記憶と感情が複雑に絡み合って生まれる文化的な怪異なのです。
つまり、上柚木公園は単なる“怖い場所”ではなく、時間・空間・記憶・語りといった要素が多層的に交錯する、現代における“都市の霊場”とでも呼ぶべき存在なのかもしれません。
そこには、目に見える何かがいるのではなく、“語り継がれてきた怯え”が空気のように満ちている――そんな印象を抱かせる場所なのです。
『上柚木公園』訪問時の注意点
上柚木公園を訪れる際、とくに夜間は慎重な行動が求められます。
まず、一人での訪問は極力避け、必ず信頼できる複数人で行動するよう心がけましょう。
というのも、心霊現象に限らず、人気の少ない場所では、思わぬ事故やトラブルに巻き込まれる危険性があるからです。
また、夜間の公園内は想像以上に暗く、舗装されていない小道や段差も点在しているため、足元をしっかり照らせる明るめの懐中電灯を必ず持参してください。
霊的な気配に気を取られ、足を滑らせてしまっては洒落になりません。
そして何より、立ち入り禁止区域や注意喚起の立て札には、必ず従うこと。それが、あなた自身を守る最大の術となるのです。
まとめ
本記事では、東京都で心霊スポットと噂されている「上柚木公園」の情報をご紹介しました。
上柚木公園は、昼間には地域住民の憩いの場として、穏やかで安全な都市公園の顔を見せています。
ジョギングに勤しむ人、遊具ではしゃぐ子どもたち、芝生の上で読書にふける人々――どれもが、ごく日常的で平和な風景です。
しかし、夜が訪れると、その風景はじわりと薄皮を剥がすように姿を変え、訪れる者に言い知れぬ“異質さ”を感じさせる場へと変貌するのだそうです。
この場所には、過去に起きた戦乱や事故、あるいは語られぬまま埋もれてきた土地の記憶が折り重なり、時間の層に囚われた“何か”が今もなお留まっているのかもしれません。
心霊現象の有無はともかくとして、人がその空気に「違和感」を覚えるという事実こそが、この場所が特別であることを物語っているのです。
だからこそ、上柚木公園を訪れる際は、単なる肝試しではなく、「ここは物語の残る場所なのだ」という敬意をもって臨む姿勢が求められます。
そのうえで、自身の安全を第一に考え、夜間は必ず複数人で行動し、立ち入り禁止区域には決して足を踏み入れないこと。
それが、知らずに“境界”を越えてしまわないための、最低限の備えとなるのです。
静けさの中に潜む“気配”に耳を澄ませば、見えない世界がふと顔を覗かせることがあるかもしれません。
上柚木公園という場所は、そうした“気配”に最も敏感な時間と空間が、今なお残されている、稀有な場所のひとつなのでしょう。