東京都練馬区に位置していた遊園地「としまえん」は、2020年8月に94年の歴史に幕を下ろしました。
そんな「としまえん」の中で、特に注目を集めていたのが、お化け屋敷「ミステリーゾーン」です。
このアトラクションでは、営業中にも数々の心霊現象が噂されており、心霊スポットとしても知られていました。
本記事では、遊園地「としまえん」内に存在したお化け屋敷「ミステリーゾーン」にまつわる心霊現象や、その背景についてご紹介いたします。
東京都の心霊スポット『としまえんのミステリーゾーン』とは



「としまえん」は、東京都練馬区に位置し、1926年9月15日に開園した老舗の遊園地です。その園内に設置されていたのが、お化け屋敷「ミステリーゾーン」でした。
開園当初は、テニスコートや野球場などのスポーツ施設が中心で、都市生活者の体力向上を目的としていました。しかし、時代の流れとともに、次第に遊園地様式のアトラクションが整備されていきました。
としまえんは、家族連れを中心に多くの人々に親しまれ、プールやアイススケートなど季節に応じたイベントやアトラクションで賑わいました。
しかし、娯楽の多様化に伴って来園者は徐々に減少し、としまえんは2020年8月31日、94年の歴史に幕を下ろしました。
そんな「としまえん」の中でも、特に有名だったアトラクションが、1966年に設置されたライド型お化け屋敷「ミステリーゾーン」です。
「ミステリーゾーン」は、二人乗りのカートに乗って暗闇を進む形式で、幕末から明治初期を舞台にした純和風の演出が特徴でした。
内部は非常に暗く、視界がほとんど利かない中、突然の大きな音や幽霊の映像といった仕掛けが施されており、ろくろ首やからかさ小僧など、日本の妖怪たちも登場して、独特の雰囲気を醸し出していました。
そしてこのお化け屋敷には、「本物の幽霊が出る」という噂が、長年にわたって囁かれていたのです。
としまえんの規模と特徴的なアトラクション

としまえんは、約22ヘクタール(およそ220,000平方メートル)の広大な敷地を誇り、多彩なアトラクションを提供していました。
なかでも、1965年に世界で初めて「流れるプール」を導入したことで、としまえんの名は一躍有名に!
また、1907年製のメリーゴーランド「カルーセルエルドラド」も、歴史的価値と独特の美しさから高い人気を誇っていました。
このように「としまえん」は、時代の流れに合わせてさまざまなアトラクションを取り入れ、長年にわたり地元の人々に親しまれてきたのです。
来園者の楽しみ方
としまえんは、家族連れを中心に多くの来園者で賑わい、夏季にはプール、冬季にはアイススケートや釣り堀といった季節ごとのアトラクションが親しまれていました。
さらに、園内では専属の少年音楽隊による演奏が行われ、来園者の楽しみをいっそう彩っていたと言われています。
こうした楽しみ方は時代とともに変化し、近年では多様なアトラクションが幅広い世代に支持されていました。
閉園の理由
としまえんは、2020年8月31日、94年にわたる歴史に幕を下ろしました。
閉園の主な理由は、東京都がこの土地を防災公園として整備する計画を立て、その要請に応じたためとされています。
なお、経営不振や施設の老朽化が直接の原因ではなく、近年は入園者数も増加傾向にあり、閉園直前まで新施設の導入や改修が行われていました。
閉園後の状況
としまえんの閉園後、その跡地は東京都によって「練馬城址公園」として整備が進められ、その一部は2023年5月1日に開園しました。
さらに、同年6月16日には、ワーナー・ブラザースによる「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 - メイキング・オブ・ハリー・ポッター」が開業。
人気映画『ハリー・ポッター』シリーズの制作舞台裏を体験できる施設として、国内外から注目を集めています。
また、温泉施設「豊島園 庭の湯」は、としまえんの閉園後も引き続き営業を続けており、多くの人に親しまれています。
としまえんの閉園は多くの人々に惜しまれましたが、その跡地は新たな形で再生し、地域の新たな魅力を生み出しています。
『としまえんのミステリーゾーン』で起こる心霊現象

人影を見た
「ミステリーゾーン」内では、誰もいないはずの通路や展示の裏側に“人影”が見えたという噂が流れていました。
なかでも、カートがカーブに差しかかる場面や、左右が鏡張りになっている廊下などで、人の姿が一瞬映り込んだという話が多く語られています。
注目すべきは、多くの場合、その人影はスタッフが待機している方向とは反対側から現れ、すぐに姿を消してしまうという点です。
スタッフは定められた位置で待機していたことから、こうした説明のつかない人影は「そこに居てはならない影」として語られるようになったと言われています。
誰かに耳元でささやかれた
「ミステリーゾーン」では、カートが薄暗い廊下を進む際に、突然“耳元で声がした”という体験も語られていました。
その声は男性だったという証言もあれば、女性だったという話もあり、「ねえ」や「来ないで」といった言葉が、はっきりと聞こえたといいます。
この不気味な声は、和風人形が並ぶエリアや、音声演出のない静かな場所で多く報告されており、機械的な演出ではなかったと語る人も少なくありません。
肩を叩かれた
「ミステリーゾーン」で語られている恐怖体験のひとつに、“何かに肩を叩かれた”というものがあります。
その「何か」に触れられたと感じた人が、カートに同乗していた友人や家族に確認すると、「触っていない」という返答が返ってきたといいます。
さらにこの現象を体験した人の中には、「肩を叩かれる前に急に寒気がした」「出口まで誰かに付きまとわれているような気配を感じた」と証言する人もいました。
ウワサされる心霊現象
- 人影を目撃したという噂があった。
- 誰かに耳元で囁かれたと語る人がいた。
- 何者かに肩を叩かれる体験をした人がいる。
『としまえんのミステリーゾーン』の場所
住所 | 東京都練馬区春日町1丁目1 |
最寄り駅 | 西武池袋線・都営大江戸線「豊島園駅」 |
アクセス | 豊島園駅から徒歩約2分 |
備考 | 現在は閉園しており、敷地内への立ち入りは禁止されています。 |

私有地に無断で立ち入ると罪に問われます。絶対にやめましょう。
『としまえんのミステリーゾーン』で過去に起きた事件・事故
としまえんの「ミステリーゾーン」で、過去に重大な事故が起きたという公式な記録は確認されていません。
しかし、あくまでも噂レベルの話として、ミステリーゾーンに隣接していた「アフリカ館」で、客が川に転落して行方不明になったという話がまことしやかに語られていました。
そして、その客の遺体がなぜか「ミステリーゾーン」内で発見された――という都市伝説もあり、それ以来、心霊現象が頻発するようになったとも噂されています。
『としまえんのミステリーゾーン』心霊スポット化の理由を考察

「としまえんのミステリーゾーン」が心霊スポットとして語られるようになった背景には、その独特の雰囲気が大きく関係していると考えられます。
ミステリーゾーンの内部は、和風の幽霊画や仏壇を模した装飾、無音の空間を活かした“間”の演出など、静謐で不気味な空気に包まれていました。
こうした作り込まれた空間は、「何かが潜んでいるのではないか」といった根源的な恐怖を呼び起こし、無意識の不安を掻き立てる舞台装置として機能していたのかもしれません。
さらに、お化け屋敷特有の不気味さに加え、多くの人々の間で語られていた都市伝説の存在が、その雰囲気をより強く印象づけていたといえるでしょう。
とりわけ有名なのが、隣接する「アフリカ館」で男性客が川に転落して行方不明となり、最終的にミステリーゾーン内で遺体が発見されたという噂です。
この話が、心霊現象にある種の“信憑性”を持たせる材料となっていた可能性もあります。
また、施設内は暗く、遠くまで見通せない構造であったことも、来場者の恐怖心をかき立てる要因となっていたでしょう。
こうした複数の要素が重なり合った結果、「としまえんのミステリーゾーン」は、心霊スポットとして語られるようになったのだと考えられます。
『としまえんのミステリーゾーン』訪問時の注意点
としまえんは2020年に閉園しており、現在「ミステリーゾーン」を訪れることはできません。
跡地はすでに別の施設として再開発、整備が進められており、当時のアトラクションは現存していません。
なお、現在の施設では心霊現象に関する噂は確認されておらず、深夜に訪れる、無断で立ち入るといった迷惑行為は絶対に控えましょう。
まとめ
本記事では、東京都で心霊スポットとして語られてきた「としまえんのミステリーゾーン」についてご紹介しました。
「ミステリーゾーン」は、独特の雰囲気と数々の心霊現象の噂によって、多くの人々に恐れられると同時に、強い関心を集めてきたアトラクションです。
実際には、重大な事故が起きたという記録はありませんが、お化け屋敷ならではの不気味な演出と、訪れた人々の間で語られる都市伝説があいまって、心霊スポットとしての印象が強まっていったのでしょう。
としまえんはすでに閉園しており、「ミステリーゾーン」を訪れることはできません。
それでも、このアトラクションでの心霊体験談や噂は、今なお語り継がれており、多くのオカルトファンの記憶に強く刻まれています。
施設としての歴史は幕を下ろしましたが、その独特の存在感は、これからも多くの人々の記憶に残り続けるに違いありません。